バロックという語
そもそも「バロック」という言葉は17世紀の芸術に対し、後世の人々による極めて侮蔑的な呼称である。冷静で節度を失わない18世紀の合理主義者には彼ら以前の時代の芸術が、悪趣味で品のないものとして捉えらえた。彼らが用いた「バロック」という言葉は、ポルトガル語で不規則な形状をし歪んだ真珠を指すBaroccoか、中世の学者が論理体系を構築するうえで複雑で難解な論法を指すのに使ったラテン語のBarocoからきたとされる。いずれにしてもいわんとするところは、この「バロック」という言葉には、多少グロテスクで懲りすぎであるという意味が含まれる。バロック芸術を強く蔑視する風潮は、かなりの長い間続いたが、20世紀に入ってから突如、再評価されるようになった。